Blue Velvet ☆ 音彩ブログ

As time goes by.~日々の残像~ここは日常のヒトコマを切り取る場所。日々の想いや感じたままの言葉の置き場所。

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花日記  白洲 正子/藤森 武(著) 

本棚から取り出した一冊の写真集。といっても官能的なものではない。
あるバァさまの写真随筆集なのだけど、ふと思い出しては、読むともなし、見るともなしに眺めている。
もちろん、写真はそのバァさまを写しているのではない。このバァさまが日々生けている花と器をカラーで撮ったもの。そもそも90近くになろうってえのに、ガンコだわ、好き嫌いは激しいわ、口は悪いわ、自分の目で見たモノしか信じないわで、まあなんというか煮ても焼いても食えねえバァさまなわけだ。
本人の写真を見ると童話によく出てくる西洋の魔女そっくりな風貌で、杖つきながらニカッと笑っている。「行儀作法やうわべだけのつきあいが大嫌い」と公言するバァサマだから、生け花といっても、誰に習ったわけでもない自己流のやり方。
ただ、器を見る目や花を見る目は、小林秀雄なんかと交流があった頃から培ってきて、商売したこともあるぐらいだからダテじゃない。

生ける器も平鉢あり、炭あり、とっくりあり、大瓶あり、と好き勝手に自分のいいように生けている。東京近郊の住まいのまわりは少しは自然が残っていて、毎日その中からも選んで気に入った花を気に入った器に生ける。チマチマしたことはキライだから、「私の生け方は勢いだけ」とは本人の弁。
その数年の暮らしの中で、実際に家にちょっと飾られた数十種以上の「花と器とそのまわり」が、100頁以上、全部カラーで掲載されている贅沢な写真集。

花日記花日記
白洲 正子 藤森 武

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これがねえ、ホント、涼しいっつーか、いい味なんだ。
ある写真は絵画のように。
ある写真では彫刻のように。
花と器が一体となっている。
器もバァさまが一点一点自分の目で長年選んできたもの。バァサマの目に適った絵画や掛け軸なんかもさりげなく置かれていて、いい味を出している。
なによりいいのは、この花と器を見ていると、
色の繊細さと形と姿のよさに、低気圧な頭を忘れてしまいそうになることだ。

このバァさまの名は、由緒正しい伯爵樺山家の令嬢白洲正子。

家には黒田清輝の絵画(重要文化財級)がかけられ、
別荘には昭和天皇が行幸され、無二の親友は秩父宮妃殿下であらせられる。
幼少のころ「韋駄天お正」と異名をとる、たいそうなお転婆だったそうで、
思い立ったら行動する性格はお年を召されてからも変わってないらしい。
昭和で唯一“ダンディ”と呼ぶに相応しい白洲次郎の妻でもある。

白洲次郎。戦後の占領統治時代、最高権力者マッカーサーを叱りつけ、
「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた男。
(いつか白洲次郎の続きを書こうと思っている)

平成10年、88歳で人生に幕を閉じたが、
口が悪く目利きであるバァさまのようなガンコでかわゆいババァはキュートだ。



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