Blue Velvet ☆ 音彩ブログ

As time goes by.~日々の残像~ここは日常のヒトコマを切り取る場所。日々の想いや感じたままの言葉の置き場所。

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『1年後の3.11 被災地13のオフレコ話 』 ゆうみ・えこ(著) 

生きることは罪深いと誰かが言う。
されど我ら全てが罪人なら、この地球は、救いきれない罪を乗っけて廻ってることになる。
しかし、それはあながちハズレてもいない。

あの日から1年6ヶ月

3.11

被災地在住(宮城県)の漫画家が描いたコミック・エッセイを読む。



『1年後の3.11 被災地13のオフレコ話』
1年後の3.11―被災地13のオフレコ話

ゆうみ・えこ(著)による本作は、これまで新聞やテレビが扱うことのできなかった生々しい震災のありさまを描いた作品である。

1年後の3.11―被災地13のオフレコ話-1

たとえば著者は、被災地のソープ街が盛況なことに眉を潜める人々に対して、

  ガレキの撤去に来ている人たちは過酷なのです
  重機を使ってガレキを持ち上げると…


と、ガレキとともにショベルカーに挟み上げられた遺体を描いてみせる。そのような仕事に疲れ果てた現場で働く従事者たちが“H”な行為に走るのは“生きている”ことの確認、人間らしいじゃないの、とつぶやく。

死骸の指を切って指輪を盗むヒト、渋滞からはみ出して歩行者を轢きながら走ったクルマ、無神経な報道カメラマン、電器大型量販店から物品を盗みだす震災泥棒等々、これでもかと著者のペンは厳しい。
しかし、本書は、いたずらにスキャンダラスな事実を暴くものではない。
歩道の人群れを撥ね飛ばして逃げる車を目撃した女性は語る。

  本当に恐ろしいのは
  自分もやってしまうかもしれないことよ
  ──もし子供を乗せて逃げていたとしたら…
  もしかしたら私も…


まさに帯に書いてあるとおり人はその時鬼畜にもなるということだ。

著者の心は常に被災地の人々に寄り添う。その語り口はナイーブで、不器用ながら前向きだ。うち続く悲惨な出来事の中で、静かに、愛情を持って誠実に光を求め続ける。
この作品をこの1年6ヶ月の報道にあふれた「いい話」「悲惨な話」の一種と読み飛ばすことも不可能ではないだろうが、そうして素通りできないのは、そこにリアルな遺体が描かれているから。それをそのように描く覚悟を決めた時点で、著者のカメラアングルは大きく広がったのだ。

コミック・エッセイは、動脈硬化を起こし、形骸化した報道を砕く針となり得るか。なってほしい。
いや、なるだろう。ならなければならない。

あいなきじだいにうまれてきたわけじゃない。なんびとも。

1年後の3.11―被災地13のオフレコ話 (SAKURA・MOOK 44)1年後の3.11―被災地13のオフレコ話 (SAKURA・MOOK 44)
ゆうみ えこ

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thread: 最近読んだ本  -  janre: 本・雑誌

tag:   コミック  エッセイ  ゆうみ・えこ 
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コメント

そうですねぇ

建前じゃない話。ちゃんと聞きたいですね。こっちには限られた話しか伝わってこないもの。

LimeGreen #dHjVWJuc | URL | 2012/10/07 21:18 | edit

Re: LimeGreenさん

大手メディアの報道姿勢の是非を問う気はありませんが、
こういった中小出版社の気概が日本を支えているんだと思うと、
まだまだ日本は捨てたもんじゃないと思いますね。

Bergamot #GTh2ANWE | URL | 2012/10/08 11:45 | edit

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